有松絞りの歴史
絞りの町有松は、江戸時代の初め、徳川家康が江戸に幕府を開いてまもない慶長13年1608年)に、絞り開祖竹田庄九郎らによって 誕生しました。
有松絞りの歴史は、尾張藩が有松絞りを藩の特産品として保護し、竹田庄九郎を御用商人に取り立てたことからはじまりました。
旅人が故郷へのお土産にと、きそって絞りの手拭、浴衣など を買い求め、これが街道一の名産品となり、その繁栄ぶりは、北斎や広重の浮世絵にえががれたましたが、鳴海の宿は有松を描いたもので、「名産有松絞り」と記してあります。
昔の繁栄と、日本建築の美しさを今に伝える町並みは、200年を経過した貴重な文化財です。その景観は、名古屋市の町並み保存指定第一号として、また全国町並み保存連盟の発祥地としても知られています。
絞りの行程
- 柄【図案】の決定
- 【型彫り】
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図案が決定したら、よく切れる小刀やハト目抜きで、模様を切り抜いたり穴をあけて、型紙を作ります。
- 【絵刷り】
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出来上がった型紙を布の上に置き、刷毛で青花を模様を刷り込んで写します。青花は露草(栽培用)の色素を酸で抽出し、和紙に浸み込ませて乾燥させたもので、必要に応じて小さく切り、小皿に置き少量の水で溶いて使います。
- 【くくり】
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通常4~5人の家庭へ次々と廻されて、加工されます。技法により様々な加工方法及び道具が異なります。写真は筋絞りの加工。代表的な道具では、烏口台・鹿の子台・巻き上げ台などがあります。
- 【染色】
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専業の染屋によって各種の染色が行われます。絞り染めの染色は、一般に浸染めで行われますが、特殊な染め方をする場合もあります。染液は、用布に適した染料、助剤などを使用してつくる。また用途や量によっても染料が違い。染方が変わってきます。
- 【糸抜き】
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絞り染めは糸を締めることによって防染をするので、とくに堅く糸留めをしています。糸抜きの際は、布の破損に注意し、手早く行う。絞りの種類によって糸抜き法も異なりますが、大たい四つに分けられます。
1反に3~4日を要するものも有ります。
- 【仕上げ】
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反物として巻かれる仕上げと、仮縫いして図柄のわかる絵羽仕上げがあります。
絞り技法の種類
杢目縫い絞り
一定の間隔で絵付けされた布の線に従って平縫いをし、固く締める。不規則な皺が杢目のようになって表われる。
唐松縫い絞り
円型、角型、菱型等独特な左右対称柄を真半分に折り、線にしたかって外側から順に何本も平縫いをして固く締める。
折り縫い絞り
線に従って山折りにし、その山の下を浅く折りたたんで縫い、固く締める。別名「つまみ縫い」や「山縫い」とも称する。
手蜘蛛絞り
鉤針に生地をひっかけて、指先で傘の竹骨のように皺をとり、その皺を寄せ、根元から細かく糸を巻き上げて絞る。
機械蜘蛛絞り
手加減で伸縮する鉤針の出入や手廻しで糸巻きする部分を電動機械で絞り上げ、手蜘蛛絞りより細かい粒に加工する。
巻き上げ絞り
下絵に沿って平縫いをし、絞り台の腕金に糸を掛け、木製のコロで巻き上げる。頭部で“かもさげ”をかけ、固く止める。
横三浦絞り
絞り台に鉤針をつるした道具に、布を糸で一巻きして鉤針に引っかけ、糸を強く引き締めることを一定間隔で繰り返す。
人目鹿の子絞り
腕金に布を引っかけ、コロで特に細かく小粒に糸を縦に引き絞る。「たて引き絞り」「つめ鹿の子」「いたこ絞り」。
突出鹿の子絞り
絞り台の頭部に取りつけた針金の上から布をかぶせ、針を滑らせるようにして粒を抽き出し“かもさげ”をして止める。
蜘蛛入り柳絞り
まず一粒の蜘蛛絞りを所々に加工し、布の先端を所定数に折りたたみながら縦筋を取り、約4mm間隔で上巻きをする。
みどり絞り
布を折りたたみ、襞を取って4~5cmの所で糸を巻き、次の所でたたみ方を変え、交互に筋を取り巻いていく。
日の出絞り
ひしゃき縫い絞りの技法で布に対して横一列ずつ縫っていき、縫いの間を糸で仮巻きし、さらに糸で上巻きをする。